休眠会社も申告は必要?均等割・届出・みなし解散と放置のリスク
公開日:2026年11月5日(最終更新:2026年10月26日)

「事業をしばらく止めているが、会社はたたんでいない」「将来また使うかもしれないので、会社を残しておきたい」。こうした休眠状態の会社について、申告や税金をどうすればよいかというご相談をよくいただきます。
結論からいうと、休眠中の会社でも、法人として存続している限り毎期の申告が必要です。ただし、きちんと手続きをしておけば、税金や手間を小さく抑えられることがあります。この記事では、休眠会社の申告・均等割・必要な届出と、そのままにしておくリスクを整理します。
休眠会社とは
「休眠会社」に法律上の決まった定義はありませんが、一般には、登記は残したまま事業活動を止めている会社を指します。税務上は、事業を休止したことを税務署・都道府県・市区町村に届け出ることができます。税務署には「異動届出書」に休業の旨を書いて提出し、都道府県・市区町村にはそれぞれ所定の届出書(名称は自治体によって異なります)で届け出ます。なお、休業の届出は法律上の義務ではなく任意の届出です。
休業の届出をしても、会社がなくなるわけではありません。会社を完全に終わらせるには、解散・清算の手続きが別に必要です。
休眠中でも法人税の申告は必要
休業の届出をしていても、法人税の申告義務はなくなりません。事業年度が終わるたびに、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内に申告書を提出します。売上も経費もほとんどない場合でも、決算書(貸借対照表・損益計算書など)を作り、申告書を提出します。
取引がほとんどない休眠会社は、作業量が少ないため、申告の手間や費用は通常の会社より小さく済むことが多いです。
法人住民税の均等割はかかるか
法人住民税の均等割は、所得に関係なく「事務所や事業所があること」に対してかかります。このため、休眠中でも事務所等があると判断されれば、均等割がかかります。資本金等の額が1,000万円以下・従業者数50人以下の法人の場合、標準税率で年7万円(道府県民税2万円+市町村民税5万円)です。東京都23区内に事務所等が1か所の場合は、都民税として年7万円です。
一方、休業していて事務所等の実態がないと認められる場合や、条例で減免が定められている場合には、休業の届出や申請によって均等割がかからない扱いになることがあります。どのような状態なら事務所等がないと扱われるか、届出や申告が必要かは自治体によって異なります。所在地の都道府県税事務所・市区町村に確認してください。
休眠中でも、役員の任期が満了するたびに(同じ人が続ける場合も)役員変更の登記が必要で、申請が遅れると過料の対象になります。また、最後の登記から12年を経過した株式会社は、法務大臣の公告と登記所からの通知を受け、公告から2か月以内に「まだ事業を廃止していない」旨の届出か登記をしないと、解散したものとみなされます(みなし解散)。この整理作業は毎年秋に行われています。みなし解散の後も3年以内なら株主総会の決議で会社を継続できますが、手続きと費用がかかります。会社を残すつもりなら、登記の管理も忘れずに行いましょう。
申告をやめてしまうとどうなるか
- 青色申告の取消し:2事業年度続けて期限内に申告書を提出しないと、青色申告の承認が取り消されることがあります。取消しは2期目の事業年度以後について行われ、その事業年度以後に生じた欠損金は将来の黒字と相殺する繰越しができなくなります。また、過去の欠損金を繰り越すには、その後も連続して申告書を提出していることが条件なので、申告を止めたままでは過去の赤字も使えません。
- 加算税・延滞税など:均等割など納める税額がある場合、期限後の申告・納付には、国税では無申告加算税・延滞税、地方税では不申告加算金・延滞金がかかることがあります。
- 再開するときの負担:何期分も申告が止まっていると、事業を再開するときや融資を受けるときに、さかのぼって決算と申告をやり直す必要が出てきます。
すでに申告が止まっている場合は「法人の申告期限を過ぎたらどうなる?期限後申告のペナルティと今からやること」もご覧ください。
休眠を続けるか、会社をたたむか
将来また事業を行う予定があるなら、休眠のまま毎期の申告を続けるのが一般的です。再開の予定がない場合は、解散・清算を終えて清算結了の登記をすれば、以後の申告や均等割の負担はなくなります。ただし、解散・清算には登録免許税や官報公告の費用がかかり、債権者への公告期間(2か月以上)も必要です。税務上も、解散の日までの申告、清算中の各事業年度の申告、残余財産が確定した日の翌日から1か月以内の申告が必要で、清算中も均等割はかかります。どちらがよいかは、再開の見込みや残っている資産・借入れによって変わります。
赤字の年の申告については「赤字・売上ゼロの法人も申告は必要?均等割・欠損金の繰越しと費用」で詳しく説明しています。
休眠会社の申告費用
当事務所は、法人の決算・申告をスポット・オンラインでお受けしています。顧問契約は不要で、基本料金は35,000円(年商500万円以下の法人)から、年商や仕訳の件数に応じた加算方式です。取引がほとんどない休眠会社は、作業量が少ない分、費用も抑えやすくなります。資料を拝見したうえで、作業前に内訳つきの金額をお伝えします。
加算の項目と金額は、料金表に一覧があります。
よくある質問
休業の届出を出せば、申告はしなくてよくなりますか?
いいえ。休業の届出をしても、法人税の申告義務はなくなりません。会社が存続している限り、事業年度ごとに申告が必要です。
休眠中の会社でも均等割は払う必要がありますか?
事務所等があると判断されれば、休眠中でもかかります。事務所等の実態がない場合や、条例で減免が定められている場合には、届出や申請によってかからない扱いになることがありますが、取扱いは自治体によって異なります。
何年も申告していない休眠会社でも、今から申告できますか?
できます。通帳や残っている資料から各期の決算書と申告書を作り、期限後申告をします。税務署から調査の通知を受ける前に自主的に申告すれば、無申告加算税は軽くなります。遅れた期間が長いほど作業は増えるため、気づいた時点で早めにご相談ください。
休眠中の会社でも、法人として存続している限り毎期の申告が必要です。均等割は事務所等があればかかり、扱いは自治体によって異なります。申告を止めると青色申告の取消しや再開時の負担につながるため、休眠を続けるなら毎期の申告を、再開の予定がないなら解散・清算も検討しましょう。
顧問契約は不要です。全国どこからでも、来所なしで法人の決算から電子申告までお引き受けします。
料金と依頼の流れを見る