赤字・売上ゼロの法人も申告は必要?均等割・欠損金の繰越しと費用
公開日:2026年10月29日(最終更新:2026年10月26日)

「今期は赤字だった」「売上がほとんどなかった」「ほぼ動いていない会社なので、申告はしなくてもいいのでは」。こうしたご相談は、決算の時期になると必ず届きます。
結論からいうと、法人は赤字でも売上ゼロでも、事業年度ごとに申告が必要です。そして赤字の年こそ、きちんと申告しておくと将来の税金が減ることがあります。この記事では、赤字・売上ゼロの法人がなぜ申告するのか、申告しないと何が起きるのか、費用をどう抑えるかを整理します。
赤字・売上ゼロでも法人の申告は必要
法人税の確定申告は、所得(もうけ)があるかどうかに関係なく、事業年度が終わるたびに行う必要があります。期限は原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。所得がマイナス(赤字)でも、売上がゼロでも、決算書を作って申告書を提出します。
個人の確定申告は、所得が一定額以下なら申告しなくてよい場合がありますが、法人にはその考え方がありません。会社が存続している限り、毎期の申告が続きます。
赤字でもかかる税金:法人住民税の均等割
法人税は税務上の所得に対してかかるため、税務上の所得がマイナス(欠損)なら原則として納める額はゼロです(決算書上は赤字でも、交際費や役員給与など税務上の調整で課税所得が出ることはあります)。一方、法人住民税の「均等割」は、所得に関係なく、事務所などがあることに対してかかります。
均等割の額は、資本金等の額と従業者数によって決まり、自治体ごとに定められています。資本金等の額が1,000万円以下・従業者数50人以下の法人の場合、標準税率では道府県民税2万円・市町村民税5万円の合計年7万円です(東京都23区内は都民税として年7万円。事業年度の途中で設立した場合などは月割。自治体によって超過税率を採用している場合があります)。
赤字の法人でも、この均等割の申告と納付が必要です。納付が遅れると延滞金がかかります。
均等割は「事務所等があること」に対してかかるため、休業していて事務所等の実態がないと認められる場合や、条例で減免が定められている場合には、休業の届出や減免の申請によって均等割がかからない扱いになることがあります。ただし届け出れば自動的に免除されるわけではなく、取扱いは自治体によって異なるため、所在地の都道府県税事務所・市区町村に確認が必要です。なお、休業していても法人税の申告義務はなくなりません。
赤字の年こそ申告すべき理由:欠損金の繰越し
青色申告の法人は、赤字(税務上の欠損金)を翌期以降に繰り越して、将来の黒字と相殺できます。繰り越せる期間は、2018年4月1日以後に開始した事業年度に生じた欠損金で10年です。資本金1億円以下の中小法人など(資本金5億円以上の大法人の100%子会社などを除く)は、繰り越した欠損金で、その期の所得の全額まで相殺できます(それ以外の法人は所得の50%まで)。
たとえば今期300万円の赤字で、翌期に400万円の黒字が出た場合、繰越しができれば翌期の所得は100万円として計算されます。今期の申告をしないままだと、この繰越しが使えません。欠損金の繰越しは、欠損金が生じた事業年度に青色申告書である確定申告書を提出し、その後も連続して確定申告書を提出し、帳簿書類を保存していることが条件だからです。
また、中小法人などは、前期に納めた法人税がある場合、今期の欠損金を前期に繰り戻して法人税の還付を受けられる制度(欠損金の繰戻し還付)もあります。前期から続けて青色申告書を提出していること、今期の青色申告書を期限内に提出し、同時に還付請求書を提出することが要件です(法人住民税・事業税は繰戻しの対象外です)。
消費税は売上ゼロでも申告が要ることがある
消費税の申告が必要かどうかは、その年の売上ではなく、原則として2期前(基準期間)の課税売上高などで決まります。2期前の課税売上高が1,000万円を超えていれば、今期の売上がゼロでも消費税の課税事業者として申告が必要です。ただし、前期の最初の6か月間(特定期間)の課税売上高と給与等の支払額がともに1,000万円を超える場合や、資本金1,000万円以上で設立した法人の1期目・2期目、課税事業者を選んでいる場合などは、2期前の売上にかかわらず課税事業者になります。インボイス発行事業者の登録をしている場合も、売上の多い少ないに関係なく申告が必要になります。
原則課税(本則課税)で申告する課税事業者であれば、赤字の年に設備投資などをして、支払った消費税が受け取った消費税より多い場合に、申告によって消費税の還付を受けられることもあります(簡易課税や2割特例を選んでいる場合、免税事業者は還付を受けられません)。
申告しないと何が起きるか
- 青色申告の取消し:2事業年度続けて期限内に申告書を提出しないと、2期目の事業年度にさかのぼって青色申告の承認が取り消されることがあります。取り消されると、その事業年度以後に生じた欠損金の繰越しや特別償却などの青色申告の特典が使えなくなり、取消しの通知から1年間は再申請もできません。
- 加算税・延滞税など:納める税額がある場合(均等割を含む)、期限後の申告・納付には、国税では無申告加算税・延滞税、地方税では不申告加算金・延滞金がかかります。
- 融資・取引への影響:金融機関は直近の決算書と申告書の控えを確認します。申告していないと、融資の相談自体が難しくなります。
すでに期限を過ぎてしまった場合は「法人の申告期限を過ぎたらどうなる?期限後申告のペナルティと今からやること」で、今からやることを順に説明しています。
赤字・売上ゼロの法人の申告費用
赤字や売上ゼロの法人は取引の件数が少ないことが多く、決算・申告の作業量も比較的少なくて済みます。とはいえ、法人税・地方税の申告書、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書などの書類一式は、黒字の法人と同じようにそろえる必要があり、自分で作るには手間がかかります。
当事務所は、法人の決算・申告をスポット・オンラインでお受けしています。顧問契約は不要で、基本料金は35,000円(年商500万円以下の法人)から、年商や仕訳の件数に応じた加算方式です。資料を拝見したうえで、作業前に内訳つきの金額をお伝えします。
加算の項目と金額は、料金表に一覧があります。
費用の相場をもっと詳しく知りたい方は「法人の決算だけ税理士に頼むといくら?顧問契約なしの費用相場」もご覧ください。
よくある質問
売上がゼロで、通帳の動きもほとんどありません。それでも申告は必要ですか?
必要です。法人は所得や売上の有無に関係なく、事業年度ごとに申告書を提出します。動きが少ない場合は、作業量が少なく済むため費用も抑えやすくなります。
赤字なら税金は1円もかかりませんか?
法人税は原則としてかかりませんが、法人住民税の均等割は赤字でもかかります。資本金等の額1,000万円以下・従業者数50人以下の法人なら、標準税率で年7万円です。消費税の課税事業者の場合は消費税の申告・納付も必要です。
赤字の年の申告をしなかった場合、その赤字は後から使えますか?
欠損金を翌期以降に繰り越すには、欠損金が生じた事業年度に青色申告書である確定申告書を提出し、その後も連続して確定申告書を提出していることが必要です。期限後申告書も確定申告書に含まれるため、青色申告の承認が取り消されていなければ、期限後でも申告すれば繰越しが認められる場合がありますが、2期続けて期限内に申告しないと青色申告の承認を取り消されることがあるため、早めに申告することが大切です。
法人は赤字でも売上ゼロでも、毎期の申告が必要です。赤字でも法人住民税の均等割はかかり、消費税の申告が要る場合もあります。赤字の年に申告しておけば、欠損金を最長10年繰り越して将来の税金を減らせます。動きの少ない法人は作業量も少ないため、決算だけを専門家に任せると、費用を抑えつつ確実に申告できます。
顧問契約は不要です。全国どこからでも、来所なしで法人の決算から電子申告までお引き受けします。
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