不動産投資の法人化で税負担を軽減できる?
公開日:2025年5月20日(最終更新:2026年10月26日)

不動産投資を個人で行うと、所得が増えるほど所得税や住民税の負担が大きくなります。
法人化することで税負担を抑え、より効率的な資産運用ができる場合があります。
今回は、不動産投資における法人化のメリットとデメリット、注意点を解説します。
法人化の3つのメリット
1.法人税の税率で計算される
個人の所得税は累進課税(所得が増えるほど税率が上がる)です。法人税は、個人の所得税ほど細かい累進構造ではなく、税率はほぼ一定です。法人税の基本税率は23.2%で、資本金1億円以下の中小法人は、所得のうち年800万円以下の部分に15%の軽減税率が適用されます(令和9年3月31日までに開始する事業年度までの時限措置で、所得が年10億円を超える事業年度は17%、過去3年の平均所得が15億円を超える法人は19%になります)。なお、法人には法人税のほかに地方法人税・法人事業税・法人住民税のほか、令和8年4月1日以後に開始する事業年度からは防衛特別法人税(法人税額から年500万円を控除した額の4%)もかかります。
2.役員報酬で所得を分けられる
法人化すると、経営者は会社から役員報酬として給与を受け取ることができます。これにより、不動産収入を法人の所得と役員個人の給与所得に分け、給与所得控除も使えるため、全体の税負担を抑えられる場合があります。ただし、役員報酬を法人の経費(損金)にするには、毎月同額で支給し、金額の変更は原則として事業年度開始から3か月以内の改定に限ること(定期同額給与)が必要です(届出をした上で支給する事前確定届出給与という方法もあります)。社会保険料の負担も増えるため、金額は慎重に決める必要があります。
3.社宅制度で家賃を法人の経費にできる
法人名義で住宅を借りて役員に社宅として貸し、役員から国税庁の定める「賃貸料相当額」以上の家賃を受け取っていれば、法人が支払う家賃との差額を役員の給与として課税されずに、法人の経費にできます。小規模な住宅(建物の法定耐用年数が30年超なら床面積99㎡以下、30年以下なら132㎡以下)なら賃貸料相当額は低く計算されるため効果が大きくなります。ただし、役員本人の名義で契約した場合や、いわゆる豪華社宅には使えません。
法人化のデメリットと注意点
法人化のデメリットとしては、設立コスト(登録免許税などの初期費用)と維持コスト(税理士報酬や社会保険料など)がかかること、赤字でも法人住民税の均等割(最低でも年7万円程度)が発生すること、設立間もない法人は実績がないため融資の際に代表者の個人保証などを求められることが多いこと、決算や社会保険の手続きが複雑になることが挙げられます。また、すでに個人で持っている物件を法人に移す場合は、個人側で譲渡所得が生じたり、法人側で不動産取得税・登録免許税がかかったりするため、新規に買う物件から法人で持つ方が有利になることが多いです。
まとめ
法人化を活用すれば、税負担を抑えながら資金を効率的に運用できる場合があります。特に、役員報酬の活用・社宅制度・将来の退職金などを意識すると、より効果的な節税が可能になります。建物の減価償却の考え方は「不動産投資で減価償却を利用した節税方法」で解説しています。
なお、資本金1,000万円未満で設立した法人は原則として設立後2期は消費税の免税事業者になりますが、住宅の家賃はもともと消費税が非課税なので、居住用物件中心の場合はこのメリットは限定的です。また、インボイス登録をすると免税にはなりません。
法人化を検討している方は、物件の規模や今後の購入計画をふまえて、最適なタイミングを見極めることが大切です。
本記事の税率などは2026年10月時点の法令に基づいています。中小法人の15%軽減税率は令和9年3月31日までに開始する事業年度までの時限措置で、延長や見直しが行われる可能性があります。根拠:国税庁 タックスアンサー No.5759 法人税の税率・No.2600 役員に社宅などを貸したとき・No.6503 資本金1,000万円以上の新設法人の納税義務の免除の特例、法人税法第34条(役員給与)。
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